2014年6月13日金曜日

板取宿(竹澤家)の歴史

約10年ほど前から福井県を紹介するブログを書いていた私は当然板取の宿に関してもたびたびそこを訪れて写真を撮って記事を書いていました。

 残っている家はたった4軒ですが、絵になるところです。

 秋には紅葉が美しく、冬には雪景色が良く似合います。
 

 苔むした屋根、窓から上る煙は旅情を誘います。
 

 そんな板取に訪れた雪の災難。
 2年続けての大雪に屋根は腐り落ちました。
 
 
 なぜこのように今まで雪にも耐えていた屋根が崩れ落ちたのかというと、人が充分な管理をしてこなかったからです。

 住まなくなって何年も放置されていたり、管理する人が中で火を焚いたり窓を開けて換気をしてこなかったせいでカビが繁殖していた屋屋根などを腐らせました。

 茅葺きの屋根でも火を焚いたり換気をすれば20~30年は持つそうなのですが、それを怠ったために僅か5,6年で腐ってしまいました。

 屋根はススキで出来ているので当然といえば当然です。

 この現状を見た時になんとかしなければ板取から家がなくなってしまう・・・・・との思いが強くなり、町に対して管理することを申し出ました。

 町としては町外の人や家族に住んでもらうことが希望でした。

 過疎化が進む町としては住民を増やしたかったからです。

 しかし私は町民なのでなかなか許可が下りてきません。

 しかも住むということを明言しなかったために、なかなか許可がおりませんでした。

 1昨年の9月に申請してから翌1月まで許可が下りませんでしたが、ようやく1月の終わりごろに許可が降りました。

 時は冬。

 雪が多い季節です。

 例年だととても行けるような時期ではありません。

 ここでは積雪量が2メートルは普通だからです。

 幸いにその年は雪が少なく、軽トラックで薪などを運ぶことは出来ました。(運び終わったころに雪が降ってもう徒歩でしか行けなくなりましたが・・・・・)

 家の中は見た目には何の問題もなく住めそうな感じでしたが、畳の上を歩くと沈み込む部分がありました。

 床板と畳がやられてる!!

 腐っていることがはっきりと分かりました。

 畳を上げてみると・・・・・、
 

 床板は白くカビていて、畳も白く変色していました。

 完全にカビでやられています。 恐らくここだけではなく全体が腐っているような感じでした。

 そこでとりあえず囲炉裏を焚くときに畳を乾そうと思い囲炉裏の火棚に立て掛けて乾かしました。
 

 でもこのようにしても分厚い畳はなかなか乾きません。

 気休めでしかないと思いますが、しないよりはした方がいいだろう・・・なんて素人考えでとにかく干しました。 今はこの畳を敷いています。

 板取の冬は長く、雪も多いのですがこの年は少なかったので割木を運び入れました。
 
 
 その後、町は床板の張り替えを行いました。

 床板は手で簡単に剥がすことが出来るまでに腐っていました。
 
 

 剥がした板は囲炉裏で燃やしました。

 床板の交換はこの家だけではなく3軒で行い、その時に出た板は全部囲炉裏で燃やしました。
 

 その張り替えで出た床板の一部です。
 
 
 借りてからほぼ毎日板取に行って火を焚くことに専念した結果でしょうか、完全ではありませんが半年もするとカビ臭さが抜けてきたように思いました。
 
 そして、昨年の9月に行われた「SATOYAMA国際会議2013inふくい」が開かれ、私が管理している家にもカンボジアの環境省の方が見学に訪れました。

 その時の写真は私が受け答えをしたので残ってません。 町にはあるかと思いますが・・・・。

 時間がある時には板取に行って囲炉裏に火を入れるだけではなく、周りの草むしりやごみ拾いなどをしています。

 そうしていると、どうすれば板取を残せるかのアイデアが次々と浮かんできます。

 例えば、この家をたんに住むだけではなくいろんなことを学べる場として、体験できる場として提供していけたらと思います。

  囲炉裏の体験場として。
  子供たちの火育の場として。
  今庄の特産である吊るし柿を作れる場として。
  外国の人に対して、100年前に日本の生活状況を見てもらう場として
 などなど。

  今年は町の二つの子供会がここで吊るし柿を作り、火育をすることになりました。

 板取をどのようにすれば後に続くものが現れて、あとを継いでくれるのかを考えています。

 それにはどうしても経済的利点がなければ続かないと考えています。

 町の施設の商業利用と言えば出来ないこととされていますが、それを何とか方向性を変えていきたい。

 町の財産である板取の宿。

 そして町の負担でもある板取の宿。

 それを残していきたいと考えています。

 残せる方策を考えていきたいと思います。





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